【樹勢回復】あけぼの山公園さくら山(千葉県柏市布施)で土壌改良を実施しました
2021.12.15 ブログ
#サクラ #エアスコップ #植栽基盤 #樹木 #樹木医 #都市公園
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STAGE 編集部

人と緑・花をつなぐコーディネーター
 地域緑花技術普及協会

土壌改良の目的

あけぼの山公園
2021年11月にあけぼの山公園さくら山(千葉県柏市布施)で、サクラの土壌改良を実施しました。

実施者は、私たち地域緑花技術普及協会です。

予備調査を行った結果、あけぼの山公園さくら山のソメイヨシノは、人の踏圧等によって土壌が固結してしまった影響で、樹勢が衰退している傾向が見られました。

そこで、サクラの樹勢回復を図ることを目的として実施したのが、固まった土壌を軟らかくする土壌改良です。
元気のなくなったサクラ

根系保護仕様書の策定と順守

私たちは、都市樹木の根系の保護について定める仕様書を策定しています(都市樹木の根系保護に関する仕様書、2020)。

都市樹木の周辺で行われる土木工事は、樹木の根に重大な損傷を与える蓋然性が高いものです。

根が損傷すれば、樹木の健全性は大きく損なわれ、樹勢衰退や枯死あるいは倒木などによる事故を引き起こす原因となってしまいます。

そのため、樹木の近くで行われる土木工事には根の損傷が最⼩限となるよう十分な配慮が求められます。

本業務は工事ではありませんが、公園内に車両や重機が入り、樹木の根を傷付ける可能性のある土壌の掘削を行いますので、この仕様書の内容を遵守して実施しています。
都市樹木の根系保護に関する仕様書(令和2 年度 あけぼの山公園さくら山 植栽基盤改良工事業務)、一般社団法人
地域緑花技術普及協会(2021)

土壌改良対象個体

今回の土壌改良対象個体は56本。

これだけ大規模な土壌改良は全国でも例が少ないと思います。

私たちも貴重な経験をさせていただきました。
土壌改良対象個体
土壌改良対象の1本

土壌改良の設計

土壌改良は、土壌改良対象個体の一定範囲内の土壌を掘り上げ、現場発生土に土壌改良資材を加えて埋め戻します。
これにより、新しい根が伸びるのに最適なふかふかの軟らかい土ができます。

土壌改良資材の施用量は多いほど良いわけではありません。
実務では施用量を土壌容量の約1-2割としている例が多く、私たちもそれに倣っています。

土壌改良資材は、予備調査の結果を踏まえて現地の土壌を改良するのに最適と考えられたものを使います。

今回は、2種類の有機質系の土壌改良材を使うことを基本としました。

ただし、例外として5本だけ、有機質系の土壌改良材と無機質系の土壌改良材を組み合わせて用いました。

この業務は大学との共同事業であることもあり、研究的な視点から、今後、土壌改良資材の違いによる樹勢回復効果への影響を検討できるようにするためです。

土壌改良範囲は、土壌改良時の根株や支持根の損傷・乾燥をできるだけ防ぐため、幹芯から一定程度外側で実施しました。
また、土壌改良をする幅は、予算と費用対効果を考慮して決定しました。

有機質系の土壌改良資材は、分解する過程で多くの地中酸素を消費するため、あまり深くまで有機質土壌改良材を施用することは逆効果になることがあります。
土壌改良の深さはその点を考慮して決定しています。
土壌改良資材は公園の一角で保管

土壌改良の実施

土壌を掘削する道具は、根を傷つけないエアスコップ(*)を主に用います。

*エアスコップ:圧縮した空気を噴射して、根を傷つけずに固まった土壌をほぐす道具
エアスコップによる土壌掘削
エアスコップで全体を粗く掘削すると、根がない範囲もわかります。
根がない範囲の土壌は小型バックホウを使って掘削・掘り上げをするのが効率がよく、合理的と考えます。

バックホウを使う際も、万が一にも周辺の根を傷つけないようにアタッチメントや掘り上げ方に工夫をしています。
根がない範囲の土壌は小型バックホウを使用
一定の太さ以上の根がある範囲の土壌は、エアスコップで根を露出させた後、手掘りで掘り上げていきます。
掘り上がった土
その後、露出した根は鋭利な刃物で切り戻し、埋め戻した後に速やかな発根を促す薬品を切り口に塗布します。

地上部の支持に直接かかわるような太さの根については、切断すると支持力に影響する可能性があり、また、組織の癒合に時間がかかり、根の腐朽や枯死の原因となる可能性があります。
そのため、切り戻しは行わず、作業中に傷付くことのないように保護します。
発根を促す薬品を切り口に塗布
掘り上げた現場発生土は、かき混ぜすぎないのがコツです。

土壌の粒子が細かくなりすぎると、かえって排水不良・通気性不良の原因となり、根の発育が悪くなってしまうこともあります。

同じ理由から、私たちは現場発生土と土壌改良資材の埋め戻し方に工夫をし、特殊な工法を採用しています。

現場発生土と土壌改良資材は、軟らかい状態を維持したまま、土壌動物の活動や雨水の浸透によってゆっくりと混ざり合っていき、根系が成長に応じて最適な条件の土壌へと伸長していくように埋め戻すのが理想的だと考えています。
土壌改良の完了

まとめ

本業務では、あけぼの山公園さくら山のサクラの樹勢回復を図るために、土壌改良を実施しました。

業務は、根系保護仕様書を順守して根を傷付けないように行いました。

土壌改良は、土壌改良対象個体の一定範囲内の土壌を掘り上げ、現場発生土に土壌改良資材を一定量加えて埋め戻すことを内容としました。
土壌改良資材は、原則は有機質系のものを2種類用い、一部は、土壌改良資材の違いによる影響を今後検討できるよう、有機質系と無機質系のものを用いました。

土壌改良の範囲は、根株や支持根の損傷・乾燥の防止、予算と費用対効果等を考慮して決定しました。

土壌改良の実施においては、根系の損傷を防ぐため、主にエアスコップを用いて掘削しました。

根系の分布していない部分の土壌は小型バックホウで、根が分布していた土壌は手掘りで掘り上げました。

支持力に影響しない根は、露出した部分を鋭利な刃物で切り戻し、切り口に速やかな発根を促すためための薬品を塗布しました。

現場発生土と土壌改良資材は、軟らかい状態を維持したまま、土壌動物の活動や雨水の浸透によってゆっくりと混ざり合い、根が成長に応じて最適な条件の土壌へと伸長していくように埋め戻しました。

STAGEでは弱った樹木の樹勢回復措置を実施しています。全国どこでもご対応させていただきます。お気軽にご相談ください。法人だけでなく、個人のお客様からのご依頼も承ります。

一般社団法人 地域緑花技術普及協会(STAGE)

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