【樹木事故】エノキの大木が倒伏 車両下敷き(東京都港区)
2021.07.01 ブログ
STAGE 編集部

人と緑・花をつなぐコーディネーター
 地域緑花技術普及協会

6月30日午前1時30分頃、東京都道 外苑西通り(港区白金台)沿いの店舗駐車場内の樹木が根元から倒れ、駐車車両1台が下敷きになりました。 
この事故でけが人はいませんでした。 

倒れた樹木は樹高16mで幹の太さ1mの大木。 
一部報道では、樹種はシイの木とありますが、報じられている映像を確認するとエノキだと思われます。 

東京では29日夜から瞬間的に風速10m近い風が吹いていたということです。

樹木の事故と点検に詳しい一般社団法人地域緑花技術普及協会の細野哲央氏(農学博士、樹木医)は、
今回の事故に関して以下のコメントを寄せています。

「瞬間風速10mの風は、健全な樹木が倒れるような風速ではありません。

日本気象協会によれば風速10m/sは「やや強い風」。
平均風速で10m/sだと、樹木全体が揺れ始め、傘がさせないくらいの強さです。

報道されている映像を見ると、倒れた樹木の根株には根はついておらず、内部に大きな白色腐朽があることが確認されます。

今回の倒木の直接的な原因は、この木の根株に大きな腐朽があったことにあると考えられます。

枝葉は旺盛に茂っているので、一般の方から見れば健全な木に見えたと思いますが、熟練技術者が適切な点検を行っていれば倒木の危険性は把握できていたはずです。

木は、ぱっと見た感じの元気さと、倒れやすさ折れやすさに関係する構造的な健全性が一致しないことがあります。

木は、長さ1㎜ほどの微細な根毛から土中の養水分を吸収しており、また、木の幹の中で生きている組織は形成層の周辺部にしかありません。
そのため、見た目は元気に生育している木でも、構造的には極めて不安定な状態、例えば、支持力を出す強くて太い根がない、幹や根株の中が空っぽ、というようなこともあるのです。

樹木を点検する際は、この点を理解することが重要です。

映像からは、この木が非常に小さな植え桝に植えられていたことが分かります。
道路に近いため、工事などで根が切断されたり痛められたりしてきたことが想像できます。
さらに、過去の画像からは、強い剪定が繰り返しされていたことも分かります。

このような木に厳しい環境と管理は根株腐朽の要因となります。
植栽されている環境と管理の方法が事故の間接的な原因となったのです。」

2021年5月(倒木の約1か月前)の樹木の様子

2021年2月の樹木の様子

冬季の様子を見ると、枝にコブが出来ていることが分かる。強い切り詰め剪定が繰り返し行われているとこのようなコブができる。

2013年6月の様子

この様子を見ると、春に枝葉が吹いた後に剪定された可能性がある。不適期の剪定が木に与えるダメージは大きい。

細野哲央
細野哲央
 一般社団法人地域緑花技術普及協会 代表理事
 樹木医 博士(農学) 国立大学法人 千葉大学 客員研究員

 樹木のリスクマネジメント、樹木医倫理の分野で日本の第一人者として知られる。植栽や庭園の施工・維持管理技術、緑化樹木の生産・管理技術、緑の生理・心理的機能、樹木の成長特性などにも造詣が深い。


東京・白金台の駐車場で16メートルの大木倒れ車が下敷きに(TBS NEWS DIG Powered by JNN 2021/06/30)

16メートルの大木倒れる・・・車が下敷き 東京・白金台(ANNnewsCH 2021/06/30)


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