被災地を調査して分かる緑の効果 阪神淡路大震災から27年
2022.01.17 コラム
#地震 #樹木 #防災・減災 #まちづくり
STAGE編集部 人と緑・花をつなぐコーディネーター 地域緑花技術普及協会
阪神淡路大震災から27年がたちました。 神戸新聞NEXTが、震災当時を振り返り、「樹木が減災、延焼防ぐ 震災後判明した「緑の効果」」という記事を掲載していましたので、このコラムでご紹介させていただきます。 (アイキャッチ画像は、阪神淡路大震災の復興土地区画整理事業でできたもり公園です)
神戸新聞NEXT(2022/1/16)
https://www.kobe-np.co.jp/news/sanda/202201/0014988198.shtml
中瀬勲氏(兵庫県立人と自然の博物館館長)は、「防災の研究はいざという時にしか出番はないが、だからこそ重要」と話す。 震災時、大学研究者や行政関係者らと被災地を調査した中瀬氏は、「緑は震災に強い」ことを目の当たりにした。 街は瓦礫で埋め尽くされていたが、街路樹に支えられるように傾いていた家屋が目立った。 街路樹が道路手前でがれきを止め、交通が確保されていた例が30件以上確認されたという。 電柱は家屋を支えられずに折れていることが多かった。 崩れたガラスやタイルを建物の周りにあった緑が受け止めたり、斜面の崩壊を樹木の根が防ぐ事例も見られた。 公園内の樹木やフェンスに巻き付いたツタ、民家の生け垣などで火災の延焼が止まった事例もあった。 樹木に蓄えられている水分が防火機能を果たし、緑化が防火にも役立っていた。 中瀬氏は、その後、被災地のまちづくりに参加。 緑のある空間は地域コミュニティーの中心であることが多く、震災時に避難場所などの防災拠点として機能したという。 中瀬氏は「次世代の研究者を育てて知見を継承し、社会全体が防災について高い関心を持ち続けられるようにしていく必要がある」と話した。
(都市の緑の機能・効果に詳しい細野哲央氏のコメント) 阪神淡路大震災のときの、街路樹が崩れかけた家屋を支える写真や、焼け止まりとなった神戸市長田区の大国公園はとても有名です。 それ以前にも、都市の緑地の価値は、災害や戦災のたび繰り返し再評価されてきました。 大正12年の関東大震災でも、街路樹や公園が火災延焼を食い止めたことが明らかとなり、街路樹や公園の設置を望む世論が高まりました。 実際、帝都復興事業では都市の緑化が重視され、その時にできた4列並木の広い道路が行幸道路、昭和通り、八重洲通りです。 太平洋戦争の時にも、公園緑地の防災・減災効果が注目されています。 平時にはなかなか気づくことのない緑地の防災・減災効果ですが、今回の記事のような事実を知っていただいて、身近な街路樹や公園の木々を見てもらえると、色々な気付きがあるのではないでしょうか。 (本コラムは、神戸新聞NEXTの記事をもとに、STAGE編集部で執筆したものです。)
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