【樹木事故】奈良・老人ホーム裏の急斜面から倒木
2025.08.07 ブログ
 STAGE 編集部
人と緑・花をつなぐコーディネーター
地域緑花技術普及協会

 

事故の概要

8月6日、奈良・三郷町の老人ホームで北側に隣接する急斜面から大木が倒れ、駐車場の車が下敷きになる事故が発生しました。幸いけが人はいませんでした。倒木は報道映像を見る限りシイノキではないかと推測されます。
 
出典:高齢者施設の敷地に木が倒れ、車3台が下敷きに 車内に人は乗っておらず、ケガ人なし 奈良・三郷町,
   読売テレビニュース,2025.08.06,
   https://www.youtube.com/watch?v=SD-YBTTjRQg

 

現場の状況と点検の難しさ

事故現場となった斜面は高低差が最大で20メートル近くにもなります。こうした急傾斜地では人が樹木の根元まで近づいて点検する従来の方法は墜落事故の危険もあり非常に困難です。一般的に、このような現場では遠くからの目視に加え、近年ではドローンによる上空からの点検など状況に合わせた工夫が試みられています。

一方で、報道映像からはツタ植物が幹や枝に絡みついている様子もうかがえ、上記の方法では、幹や枝の傷みやリスクを見抜くのが難しかった可能性も考えられます。

なお、この現場での点検や管理については明らかになっていません。
 
現地全景 ー裏山の森が見えるー

 

 

都市の斜面林が抱える課題

この斜面林は北西の神社の森へと連なり、都市の中にまとまった緑が残る貴重な空間です。

一方で、周囲の宅地化が進む中でこうした斜面林は開発を免れて残ることが多く、宅地部分と斜面林とで所有者が異なるケースも見られます。その結果、斜面林は未利用地となり管理も十分に行われにくくなります。
全国的に見ても人目の届きにくい斜面林は意外に多いものです。都市の貴重な緑を守りながらこうしたリスクとどのように向き合うかが問われています。今回の事故を受けて、現場ごとの点検の工夫や技術の進歩を積み重ねる重要性をあらためて感じます。

 


〈この記事を書いた人〉

池田利行
 一般社団法人地域緑花技術普及協会
 クリエイティブディレクター
 樹木医 植栽基盤診断士 

樹木・街路樹のリスクマネジメント(健全度・危険度診断)で豊富な実務経験を持つ。点検・診断にとどまらず、樹種調査から緑地の保全・管理計画の提案にも幅広く携わっている。

 

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