集合住宅の緑地管理を考える
2026.01.29 コラム
 
地域緑花技術普及協会プリンシパル・プロフェッショナル・パートナー
おゆみ野緑研究室 樹木医
伊東伴尾

キーワード #マンション植栽 #維持管理 #管理費 #大木化 #倒木 #剪定 #樹木医

 

多くの集合住宅で、樹木の過密化や倒木リスクの増大、そして膨らみ続ける管理費が深刻な課題となっています。では、どうすればこうした行き詰まりを打破し、価値ある緑地を取り戻せるのでしょうか。

本稿では、地域緑花技術普及協会プロフェッショナル・パートナーの伊東伴尾さんが、大規模集合住宅「シティア」での14年間にわたるコンサルティングの成果をレポートします。これからのマンション緑地管理を考えるための、確かな「羅針盤」がここにあります。

<目 次>

1. 緑地の課題と植栽環境委員会
1-1. 専門人材
1-2. 課 題
1-3. 対 策
2. 基準や樹木生理に基づく緑地管理
2-1. 集合住宅と緑地規模
2-2. 樹木調査と台帳整備
 1) 樹木調査と植栽配置図の更新
 2) 活力度調査
 3) 形状寸法調査と樹齢による生長率
 4) 植栽図修正
 5) 高木の台帳整備
 6) 樹木名板の整備
3. 管理方針
3-1.管理対象の分類
 1) 緑地形態別分類
 2) 樹高タイプ別分類
3-2.形態別管理
 1) 自然林緑地管理
 2) 住宅地周辺管理
3-3.樹木生理に基づく管理の目標
3-4.倒木危険度判断
3-5.予算区分
 1) 定型管理
 2) 非定型管理
 3) グレードアップ管理
4.管理運営
4-1.組 織
 1) 植栽環境委員会
 2) 自治会 ガーデニンググループ
 3) 委託造園会社
4-2.委員会
 1) 委員会での課題の取り組み
 2) みどりの啓蒙活動
4-3.緑地データの保存


 

◇ 集合住宅の緑地管理を考える

 皆様の中には、集合住宅に住んでいたり、管理業務に関わっている方が多くいらっしゃると思います。今回、筆者が関わっている事例を紹介しながら、皆様と緑地管理のあり方を考えてみたいと思います。
 

1. 緑地管理の課題と植栽管理委員会

1-1.専門人材

 集合住宅管理会社には、建築や設備の技術者がいても植栽管理専門人材がいないことが多く、管理作業を行う造園会社も、定型的な年間作業を委託されているだけの場合が多いようです。
 

1-2.課 題

多くの集合住宅では、成長に伴う過密害、被圧害、樹勢衰退、見通し障害、倒木落枝の危険増大、管理費の増大化等の課題が生じていることが多いと思われます(写真1~4)。

 また、集合住宅住民の緑地価値や趣向の違いで、緑地管理に求める内容も多種多様で合意形成を図るのが難しいこともあります。
 

写真1)
密植・被圧

写真2)
見通し障害・実生木

写真3)
枯れ木・枯枝

写真4)
樹勢衰退・腐朽菌

1-3.対策

 これらの課題を解決するために、規模の大きな集合住宅では、植栽管理委員会を設けていると思います。これを更に深める提案としては、この委員会設置に加えて、基準や科学的な専門的知見に基づく全体計画・リスク管理・改善計画・合理的な管理工事発注等へのコンサルティング機能があることが望ましいと考えます。

 筆者の関わっている我孫子市の集合住宅のシティア管理組合(851戸)は、植栽管理の対策協議機関として10名程の住民委員を主体とした植栽管理委員会を設けています。委員は植栽管理に興味があって研究熱心な住民の方が活動しています。シティアではこの委員会の中に管理会社の植栽管理担当者・管理造園企業担当者に加えて、造園技術者(グリーンワークス:関基治氏2023年まで)と樹木医(筆者:2021年から参加し2024年から造園技術者兼務)をグリーンアドバイザーとして参加してさせてきました。今回、シティアでの植栽管理の事例を紹介します。
 


2. シティアでの基準や樹木生理に基づく緑地管理

 まず、シティアの植栽管理委員会がどのようにコンサルティング機能を果たしてきたかをお話します。
 

2-1.集合住宅と緑地規模

 シティアは敷地面積4.4haに15階建て851戸の高層大規模集合住宅です。建物だけですと圧迫感があります。幸い、この敷地内には下総大地の農用林0.3haと日立精機工場時代からの既存植栽樹木が多く残され、集合住宅建設時の植栽と合わせて多様な緑地を構成しています。規模としては緑地面積1.1ha、敷地面積の25%、高木本数約800本と緑豊かな住宅地となっています(図1.写真5~10)。
 

図1.シティア全体植栽図

写真5)
ガーデン風の入口が人々を迎える

写真6)
サクラ並木の通路、春はサクラのトンネルとなる

写真7)
モミジガーデン、秋は紅葉を楽しめる

写真8)
整然としたヒマラヤスギ並木とテイカカズラ生垣

写真9)
明るい林床のイヌシデ・モミジ等の雑木林

写真10)
春は林床のイカリソウ等に癒される

 

2-2.樹木調査と台帳整備

 植栽管理をする上で、樹木や地被植物の名称・形状寸法・位置が分かりやすい情報が整備していることが重要です。シティアでは植栽図(CAD図)と台帳を整備して、定期的に見直しをしています。
 

1) 樹木調査と植栽配置図の更新

 2021年に高木の幹に樹木用ナンバーテープを再設置して(写真11)、樹高、幹周り、枝張り、活力度(判定A:B1:B2:C)調査を行いました。樹木調査に際して基準や科学的な専門的知見を加えて、a活力度と調査とb樹齢と生長との関係性を調査しました。ここでの樹木用ナンバーテープ使用は、植栽配置図と一体使用で、誰でも樹木を特定でき委員会での課題協議に役立っています。
 

写真11)樹木ナンバーテープ

図2.植栽図で樹木位置を確認できます。

2)活力度調査

 活力度評価基準は、東京都街路樹診断マニュアルに基づき高木766本を簡易に調査しました。活力度(樹勢、樹形)は、基盤土壌が良好な関東ローム層であったことが影響してか、A(健全か健全に近い)B1(注意すべき被害がある)が約80%と多いことが分かりました。一方、生長したことよる過密や建物の被圧、強風、病虫害等で、活力度B2(著しい被害)C(不健全)樹木が約20%となりました。全体的には質の高い緑地が形成されているといえます(図3)。
 

図3.シティア高木活力度(本・%)
  

3)形状寸法調査と樹齢による生長率

 植栽環境委員会は、14年前も樹高・幹周・枝張りを調査していました。14年間の経年による生長傾向調査として、活力度Aのソメイヨシノ48本を14年前調査と比較検討してみました。結果、(シティア建設時植栽)14年前の幹回りは21~60㎝は肥大率が2.4~3.0倍と大きいですが、(日立精機時代植栽)101~300㎝は1.1~1.5倍と肥大率が減少する傾向が分かりました(図4)。
 

図4.ソメイヨシノ活力度Aの14年間幹回り生長率(倍率)

  
<樹木管理対策>
 この樹齢の違う樹木管理対策としては、樹齢の低い樹木は剪定間隔を短くし(1回/1~3年)、樹齢の高い樹木は剪定間隔を長く(1回/4~5年)等とします

 

4) 植栽図修正

 2003年の竣工図のCADデータを、2021年の現地調査結果に沿って修正しました。樹木名と樹木番号の表記にしましたので、一目で樹木名が分かるようになりました(図5)。
 

 図5.修正した植栽図(A棟高木植栽図)
 

5) 高木の台帳整備

 高木の台帳整備:2021年に現地調査結果に基づき台帳を整備しました。これには形状寸法以外に活力度と課題内容も記入していて、状況が分かりやすい台帳になっています(表1)。
 

表1.シティア樹木管理番号台帳

 

6) 樹木名板の整備

 主要な高木と低木のQRコード付きの樹名板を設置して、住民への自然学習ツールになるようにしています(写真12,13)。
 

写真12)
高木用樹名板

写真13)
低中木用樹名板


3.管理方針

3-1.管理対象の分類

1)緑地形態別分類

 一律的な管理を避けるため、それぞれの特性が活かされかつ経済的な観点から、緑地を形態別に管理を行なう分類としています。大きくは残地既存林(森の管理)と住宅地周辺緑地(造園管理)と分類しました。
 

① 残地既存林(森の管理)

 集合住宅建設前からある既存樹林で、イヌシデ、クヌギ、ケヤキ、スダジイ等が多い落葉常緑混交林とシラカシ、スダジイ、スギ、ケヤキ等が多い常緑落葉混交林があります(写真14)。これらは、造園的植栽にはない魅力となっています。これら樹林課題は建設時になかった、耐陰性の強いヒサカキやアオキの実生木が増えて、藪化、見通し障害、枯枝・枯れ木が課題となっています。
 

a. 落葉常緑混交林(名称:フォレストガーデン)
 明るいイヌシデ・モミジ・コナラ・サクラ等の明るい樹林と、その林床に植栽したイカリソウやアジサイ等はこの樹林の魅力です。ここの課題は、自然林ということで放置され実生木の増加や、枯枝・枯れ木の発生・隣地への越境枝等が見られます。これらを間伐・伐採・剪定等管理しています。
 

b. 常緑落葉混交林(名称:トムソーヤの森)
 関東地区に多く見られる自然植生林に近いシラカシ、スダジイ、スギ等多い常緑落葉の二次林です(写真15)。常緑樹が多いので落葉常緑混交林とは違った魅力があります。ここにはかつて小屋やブランコがあり森の遊びができることから「トムソーヤの森」と名称がつけられました。ここの課題も、実生木の増加や被圧等での枯枝・枯れ木が発生します。これらを間伐・伐採・剪定等管理をしています。
 

写真14)
落葉常緑混交林(フォレストガーデン)

写真15)
常緑落葉混交林(トムソーヤの森)

 

② 住宅地周辺緑地(造園管理)

 住宅地周辺は、集合住宅地になる前の工場緑化として植栽されていた樹木も活かしながら、ランドスケープデザインがされています。植栽デザイン別に高木列植(ケヤキ、サクラ等)・自然風面配植・独立木・生垣に分類して樹木管理をしています。
 

a. 高木列植(特別ケヤキ、サクラ等)
 主要道路沿いや敷地周辺に配植された列植樹木です。同じ間隔と高さを維持する管理をしています。樹種はヒマラヤスギ、シラカシ、ケヤキ、カツラ、ソメイヨシノ、イロハモミジ、カイズカイブキです(写真16,17)。高木列植木は数量が多く毎年剪定をすると管理費がかさむので、シティアでは樹木の特性に応じて数年〈1~5年〉間隔に行う特別剪定としています。課題としては、剪定間隔を何年にするか・枯枝剪定・樹勢回復・害虫駆除等があります。
 

写真16)
ケヤキ列植(B棟前)

写真17)
カツラ列植(フィルドガーデン)

b. 自然風面配植
 主要通路には高木の列植が配植されていて、住宅棟周辺は自然植栽となっています(写真18)。課題としては、建物の被圧による樹勢衰退・生長の遅い常緑樹の剪定間隔・建物ベランダへの越境枝があります。これらには、樹種変更、剪定を毎年から2年毎に変更・越境枝の剪定等で対処しています。
 

c. 独立木
 工場緑化の残存大木や周辺樹木の被圧受けないで大きく生長した高木があります。樹種はケヤキ、ソメイヨシノ、ヒマラヤスギ等です(写真19)。これらは観察を行いながら、腐朽による倒木の危険には腐朽空洞率の調査や伐採、枯枝は剪定等を行っています。
 

d. 生 垣
 敷地境界や専用庭周囲は境界フェンスを設置して、手前に中木やツル植物の生垣を設置しています(写真20)。樹種はサワラ、シラカシ、ヒイラギモクセイ、テイカカズラ等です。これらは、毎年刈込をしています。生長の遅いものは隔年にする場合もあります。課題は被圧や乾燥による枯損で、枯損木の撤去や植替えです。
 

写真18)
自然風植栽(A棟周辺)

写真19)
独立木(ケヤキ)

写真20)
生垣(サワラ)

 

2)樹高3タイプ分類

 狭い空間に大きくなる高木を植栽しますと、樹勢や樹形の衰退や管理費の増大となります。対策として、環境に恵まれた状態での本来の樹高・枝張り樹高比・自然樹形を基本として、樹高別に高木を分類します(表2)。
 

表2.シティア高木分類表(参照文献:分類:道路植栽の設計・施工・維持管理)


 

3-2.形態別管理

1) 自然林緑地管理

① 密度管理

 自然林緑地は、計画時以降に発生して見通し障害となっているヒサカキ等を間伐します。密度が高いことで被圧され樹勢や樹形が著しく衰退した樹木(B2,C判定)の間伐等を行っていきます。樹林は定期的に観察して、被圧・降雨量不足等で発生した枯木・樹勢衰退木・枯枝も適宜除去します。

  • 落葉常緑混交林(樹高10~15m)現況密度1000本/ha⇒目標植栽密度500~700本/ha(写真21)
  • 常緑落葉混交林(樹高20m以上)現況密度550本/ha⇒目標植栽密度 250~300本/ha(写真22)
     

写真21)
フォレストガーデン(実生木・枯れ木)

写真22)
トムソーヤの森(実生木:ヒサカキ)

2) 住宅地周辺管理

① 仕立て方

  • 枝張り樹高比は樹形毎に:円錐形0.2~0.4、卵円形0.4~0.7、球形盃形0.5~0.7とします。
  • 小高木列植は高生垣仕立てにして、景観向上と管理費削減を行ないます(写真23,24)。
  • 住民の要望に沿った管理を行います(図6)。例:3階以上に日照確保等
     

② 剪定年の間隔と目標樹高

  • 剪定樹高は汎用性のある高所作業車で管理できるように樹高12m以内を多くします(図6)。
  • 剪定年の設定間隔は、樹勢衰退しないように剪定枝元径は5㎝以内になるような間隔にします。

 例

  • ケヤキ :目標樹高15m、剪定時樹高12m、剪定枝元径5㎝以下、剪定設定間隔3年
  • イロハモミジ:目標樹高8m、剪定時樹高6m、剪定枝元径5㎝以下、剪定設定間隔3年
  • シラカシ :目標樹高13m、剪定時樹高10m、剪定枝元径5㎝以下、剪定設定間隔4年
  • ヒマラヤスギ:目標樹高18m、剪定時樹高15m、剪定枝元径5㎝以下、剪定設定間隔5年
     

③ 適正密度に間伐

  • 目標樹高と枝張り樹高比から密植になっているものは間伐して適正密度にします。

 例 シラカシ :6m間隔を12m間隔に改善

図6.目標樹高と剪定高図

 

写真23)
カイヅカイブキ列植現況

写真24)
カイヅカイブキ高生垣イメージ

 

3-3 樹木生理に基づく管理の目標

① 樹木の生理に基づく剪定

  • 季節毎の樹木生理(春~初夏の生長期、夏~秋の蓄積期、冬の休眠期)に合わせて、前年度の蓄積した養分を使い発芽する前の時期(落葉広葉樹は12月~3月、常緑広葉樹は3月~4月)に剪定します(図7,写真25,26)。ツツジ等の花木は開花後で花芽分化前に刈込します。
  • 自然感を損ない樹勢衰退にもなる切り詰め剪定は行わずに、切り返し剪定で目標樹高を維持します(図8,写真27,28)。
     

図7)
樹木の生理的季節

写真25)
ケヤキ剪定(3月)

写真26)
ヒマラヤスギ剪定(3月)

(参照:加島書店 上原啓二 「樹木の移植と根回し」を基に作図)
 

図8)
切り返し剪定、枝抜き剪定

写真27)
切り詰め剪定で増えた萌芽枝

写真28)
切り返し剪定で自然形萌芽

(参照:川口市樹木管理指針)
 
 

② 環境に適した樹種の選定

  • 建物の日陰になる場所は、耐陰性樹木に植え替えます(写真29,30)。
  • 衰退している樹種から環境に適した樹種に変えます。

 <日照条件別樹種変更例>

  • 建物日陰地 :エゴノキ、シラカシをヤブニッケイ、イヌツゲに植替え(写真29,30)
  • 生垣(陽光地)レッドロビン、サザンカ、トキワマンサク
      (半陽光地)タチカンツバキ、ネズミモチ、コノデガシワ・エレガンテシマ
      (フェンス緑化)テイカカズラ
     

写真29)
建物の日陰で衰退した緑地
 

写真30)
耐陰性のあるヤブニッケイやアオキ等を補植、生垣にはイヌツゲを補植

 

3-4 倒木危険度判断

  • 倒木危険度判断は、外観診断・診断データ(樹高幹径比は50以上<図8>、幹空洞率は0.65以上で倒木しやすくなる<図9>)・周辺環境(風向、根系・土壌等)を総合的に判断します。それらの結果で、観察や伐採を行います。
     

図8)
樹高の幹径率と倒木頻度

図9)
材の空洞率と倒木頻度

(参照:Mattheck,C 街路樹新診断協会:物が壊れるしくみ)
 

3-5 予算区分

1) 定型管理

 管理は植物の生長に伴い毎年定期的に行わなければ良好な住宅地環境が維持できないものを定 型管理とします。

  • 管理内容:周辺施設隣接樹木の剪定、生垣刈込、芝生刈込、低木刈込、除草、病害虫駆除
     

2) 非定型管理

 必ずしも毎年剪定が必要ではなく、数年間隔で良いもの、住民からの要望への対処や改修工事等の樹木管理を非定型管理として区分しています。シティアではオープン数年後からこの区分方式で分けて実施しているのが特徴です。

  • 数年ごとでも経済的、景観的にも良い列植剪定(3年、5年間隔)や住民要望(越境枝剪定等)
     

3) グレードアップ管理

 経年変化や環境変化で衰退した緑地を改善してグレードアップする管理です。

 <実施例>

  • 建物の日陰で樹勢衰退した樹種を耐陰性の高い樹種に植え替えました(写真23,24)。
  • 住宅棟前の雑草繁茂地にツツジやヤマボウシを植えて景観が向上しました。
  • 樹勢衰退したイロハモミジを植替えて、衰退木はなくなり品質が統一しました。
  • 見通し障害になっていた樹林内実生木を間引きして、明るい樹林になりました。
  • 樹勢衰退したソメイヨシノ跡地に、連続的にヤマボウシを植えて新たな並木を育てています。
  • 最近猛暑や干ばつといった異常気象でシティア内樹木も樹勢衰退する樹木が出てきています。
  • 植栽間もない樹木を対象に保水性の高い土壌改良材の混合やバーク堆肥マルチを行いました。
     

4) 特別樹木処理費

 倒木危険樹木の伐採、枯木伐採、枯枝剪定等の費用です。
 

5) アドバイザー費用

 アドバイザーや樹木医の委員会資料作成、委員会出席、現場指導、図面更新等の費用です。
 


4.管理運営

4-1.組織

1) 植栽管理委員会

 植栽集合住宅地の管理運営は、理事会から造園会社に委託して管理が行われることが多いです。シティアでは植栽環境委員会が組織されて、その中にグリーンアドバイザーと樹木医が専門家として助言しながら運営しています(図10)。これにより、委託造園会社管理仕様のチェック、住民からの要望対策、委員同士の意見の違いの調整、提言等が合理的に運営されています。

図10)植栽環境委員会組織図

*2023年からはグリーンアドバイザーと樹木医は兼務1名
*グリーンクラブは2026年からガーデニンググループに改称  

2) 自治会 ガーデニンググループ

 シティアには管理組合とは別に自治会組織があり、その園芸活動のグループ、ガーデニンググループがあり、花壇・プランターの草花管理を行っています。シティア内に四季の草花の風景を創りだしシティアの緑地の価値に貢献しています(写真31~36)。
 

写真31)
通路沿いの草花植栽

写真32)
通路沿い草花

写真33)
大型プランターへの草花植

写真34)
木製ベンチ塗装

写真35)
20周年記念草花植栽

写真36)
道路沿草花植栽

 

3) 委託造園会社

 委託造園会社は敷地内樹木の状態を精通していることから長年変更していません。
 

4-2.委員会

 毎月1回定期開催し、場内パトロールと審議を行っています。また、委員会だよりを定期的に毎月発行して、住民へのみどりの啓蒙活動を行っています。
 

1) 委員会での課題解決の取り組み

  1. 管理センター植栽管理担当者は、住民からの要望を委員会に提出します。
  2. 管理委託造園会社担当者は、毎月1~2回シティア緑地全体をパトロールして管理課題(枯枝、枯木、病虫害、越境枝等)を委員会に報告書を提出します。 

  1. 1.2.の課題箇所を主体に委員会全員で30~60分場内パトロールをして、現地と会議で協議します。 

  1. 協議した結果で造園会社(内容により委託企業や他企業)に見積依頼し、提出見積の検討、工事発注して課題(枯枝、枯木、病虫害、越境枝等)を解決します。

 

2) みどりの啓蒙活動

 植栽環境委員会は毎月1回住民の皆様宛に「植栽環境委員会だより」を発行しています。内容は委員会で話題になったキーワードを主体に分かりやすい内容です。

 例

  • モミジの落葉、紅葉のしくみ、剪定時期、気候変動と衰退、サクラの返り咲き、サクラの開花 のしくみ、切り返し剪定、胴吹き・ひこばえ、腐朽空洞率等
     

 

4-3.緑地データの保存

 緑地現状を把握して管理や将来への対策が容易にできるように、竣工図面の外構図CAD図を入手して、CAD図更新と樹木番号を図面上に示して、樹木管理の数値化と樹木番号ごとの樹木台帳記録を行っています。
 


<謝 辞>

 本コラムは、シティア管理組合・植栽管理委員会・グリーワークス関基治氏の承諾を
得て掲載させていただきました。ここに関係者の皆様に感謝申し上げます。伊東伴尾
 

<参考文献>

1)2009年9月 樹木応用技術研究所:シティアの樹林・樹木調査報告書
2)2021年9月 Citia緑の環境調査・植栽管理指針 報告書
3)2022年11月 (公団)都市緑化機構 技術発表会
  集合住宅における植栽管理事例報告(基準値や樹木生理に基づく管理)
  関 基治(グリーンワークス)、伊東伴尾(おゆみ野緑研究室)
4)高木分類:(財)経済調査会 道路植栽の設計・施工・維持管理
5)樹高分類:(財)日本緑化センター 公共用緑化樹木品質寸法規格
6)街路樹新診断協会 Mattheck,C 物が壊れるしくみ
7)加島書店 上原啓二著 樹木の移植と根回し
8)令和3年 川口市 樹木管理指針


伊東伴尾(いとう ともお)

おゆみ野緑研究室、樹木医

総合造園企業の設計部門に長年勤務。主な実績に「キヤノン本社」、「キリンビール神戸工場」、「大手町の森」等の緑化計画・調査。海外では「上海ディズニー」の圃場育成指導や「トルコ共和国三笠宮記念庭園」の緑化計画等、国内外で幅広く活躍。現在は、樹木医としての知見を活かしコンサルとして活躍する。

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