剪定枝の有効利用【シリーズ・知っておきたい緑花の基礎知識】
2021.10.20 コラム
#管理 #木材 #堆肥 #ウッドチップ #炭 #落葉マルチ #落葉集積所
豊田幸夫 STAGEプリンシパル・プロフェッショナル・パートナー 技術士(建設環境)、樹木医
一般社団法人 地域緑花技術普及協会(STAGE)では、緑と花を通じて健康な生活を送るための情報や、緑・花を元気に育てるために役立つ情報を公開しています。 「知っておきたい緑花の基礎知識」は、STAGEプロフェッショナル・パートナー豊田幸夫氏が作成された、趣味で庭造りを楽しむ方から植栽管理のプロフェッショナルまで幅広く参考にしていただける技術資料です。 このコラムでは、「知っておきたい緑花の基礎知識」を皆様にさらに分かりやすくお伝えできるようにSTAGE編集部がインタビュー形式で再構成したものです。
― 庭木などの手入れを行うと多くの枝葉や幹がゴミとして出ます。 ゴミの減量やCO2固定などを考えると有効活用できればと思うのですが…。 何か良い方法はないでしょうか。 豊田幸夫さん(以下:豊田): 幹は、加工すれば集成材などの木材として利用できますが、大掛かりな加工をしなくてもベンチやテーブルなど、屋外で使用する家具にできますね。
― 家具作りはハードルが高いと思う人も多いと思います。そういう人達にお勧めの活用方法はないでしょうか。 豊田: 枝を使えばほとんど加工しないで柵や土留め材、花壇などの縁材に使えますよ。 薪に利用する場合はさらに手軽ですね。 薪を使うロケットストーブやボイラーは非常時にも役に立ちます。 野焼き規制が適用されないコンパクトな無煙炭焼き器(無煙炭化器)などを使って炭化させれば、炭として利用することも可能です。 加工品にできない小枝も、薪のほかにウッドチップにして園路の舗装材などに利用できます。 ウッドチップが完全に堆肥化すれば土壌改良材としての効果も期待できます。
豊田: もちろん葉は、落葉マルチ材(*)、腐葉土や土壌改良材などとして利用できます。
*(編集部注)落葉マルチについてより深くお知りになりたいのであればこちらも併せてご覧ください。 落葉マルチ【シリーズ・知っておきたい緑花の基礎知識】
― 枝葉などを利用する際に注意することはありますか。 枯枝は、生きている樹木の根元に敷設すると樹木に腐朽病害が出ることがあります。 枯れ枝は樹木の根元に置かないようにしてください。 同様に、ウッドチップのマルチングを厚く施したときも腐朽病害が出ることがあるので注意しましょう。 未分解のウッドチップを堆肥として使うと窒素飢餓や病気が出ることがあります。 とくにイチョウやサクラの枝、針葉樹の枝などは、未分解の状態だとフェノール類を多く含み、作物の根に有害です。 必ず完全に堆肥化してから利用してください。
関連参考図書 ・現代農業2017年12月号 特集「落ち葉&せん定枝 : ラクに集めて、どっさりまく」 ・「木質資源とことん活用読本: 薪、チップ、ペレットで燃料、冷暖房、発電」熊崎実・沢辺攻、農山漁村文化協会 (2013) 164pp
・「炭をやく 炭を使う (現代農業特選シリーズ―DVDでもっとわかる)」農山漁村文化協会 (2012) 63pp
・「最高!薪&ロケットストーブ (現代農業特選シリーズ DVDでもっとわかる)」農山漁村文化協会 (2014) 64pp
豊田幸夫(とよだ ゆきお) STAGEプリンシパル・プロフェッショナル・パートナー 技術士(建設環境)、樹木医 元鹿島建設(株)・ランドスケープデザイン部・兼務・技術研究所、(株)ランドスケープデザイン設計部 技術部長。 屋上緑化・屋上庭園、ヒーリングガーデン、エディブルガーデンの計画・設計を専門分野とする。現在は樹木医・環境造園家として活躍中。
関連記事はこちら