【地域緑化】住民が作った桜並木の再生「くろかわ 桜咲くプロジェクト」(愛知県名古屋市)
2022.04.03 ブログ
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STAGE 編集部

人と緑・花をつなぐコーディネーター
 地域緑花技術普及協会

名古屋市の北区を流れる堀川沿いには、約3㎞にわたってソメイヨシノ、オオシマザクラ、カンザンなど複数の品種のサクラが約530本植えられています。

もともと地元の青年会が1954(昭和29)年に植えことから作られ始めたというこの桜並木は「黒川の桜」と呼ばれて地元で親しまれています。

2011年度から2012年度にかけてと、2018年度に住民や樹木医がサクラの健全性を調査しました。その結果、2018年度調査では、前回調査よりも活力の衰えが見られ、半数ほどが衰弱、20本が「枯死寸前」と判定されたそうです。

また、この時の調査では、「根頭がん腫病」や「ベッコウタケ」の発生や、土の踏み固めや競合木による日照不足が問題点として報告されています。
 
この結果を受け、並木のある北区と名古屋市の土木事務所、近隣の住民や市民団体が協議して「くろかわ 桜咲くプロジェクト」を策定。

それぞれの役割を決め、土木事務所は剪定作業や土壌改良、区は広報などによる支援、住民は「施肥や保護策(ママ)の設置に協力」し、病虫害のパトロールを行っているといいます。

関係者は以下のように話していることが報道されています。
「これまでどんどん枯れ、減ってきた桜並木を再生して、にぎやかな黒川を取り戻したい」(市民団体の代表)
「市民の手で植えられた桜なので、住民と行政の協力は不可欠。一緒に守っていきたい」(区の担当者)

「黒川の桜」(名古屋市北区辻本通1丁目付近)


住民による緑化活動に詳しい細野哲央さん(一般社団法人 地域緑花技術普及協会)のコメント

住民が作った桜並木を官民連携で再生する取り組み、素晴らしいです。
樹勢が衰退しつつあるということですが、グーグルマップなどで確認する限り、まだまだサクラ並木全体でみると健全性が高いように思いました。

これまで太い枝をぶつ切りや強剪定などの不適切な管理がされてこなかったこと、川岸ののり面に根を伸ばせる空間が十分にあること、なによりも地元の方たちに大切にされてきたことが健全性の高さの要因だと思います。

一つ気になるのは並木の植栽間隔が密になりすぎていることです。樹勢や樹形に顕著な問題があるものを中心に間伐を行い日照面での改善をすれば残ったサクラの健全性は向上します。

間伐については反対意見も出ると思いますが、素晴らしい桜の「並木」を後世に残すことを考えれば、今後、是非検討していただきたいことです。

もともとのサクラ並木全体としての健全性が高いことに加えて、官民連携して活動しているわけですから、樹勢回復には大きな効果が期待できます。
そして、それ以上に地元コミュニティの活性化などにもとても良い影響があるはずです。

細野哲央
細野哲央
 一般社団法人地域緑花技術普及協会 代表理事
 樹木医 博士(農学) 国立大学法人 千葉大学 客員研究員

 樹木のリスクマネジメント、樹木医倫理の分野で日本の第一人者として知られる。植栽や庭園の施工・維持管理技術、緑化樹木の生産・管理技術、緑の生理・心理的機能、樹木の成長特性などにも造詣が深い。

*この記事は、中日新聞2022年3月31日「「黒川の桜」元気になあれ 名古屋・北区、530本の半数衰弱」の報道をもとに作成しました。

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