【地域緑化】人件費等の高騰を受け、学校の高木剪定を用務員が担う取り組み(群馬県・前橋市)
2024.01.15 ブログ
STAGE 編集部

人と緑・花をつなぐコーディネーター
 地域緑花技術普及協会

人件費等の高騰を受け、学校敷地内の高木の剪定を学校用務員が担う取り組みを群馬県前橋市が始めるというが…

高木の剪定を用務員に 研修実施し新年度から作業 群馬・前橋市教委

上毛新聞2024/1/9

学校敷地内の高木剪定は、民間の造園業者などに委託しているのが通例。前橋市もこれまでは3m以上の高木剪定は2年に1度、造園業者に委託してきた。

ところが、近年、人件費や燃料費が高騰し、限られた予算の範囲内で対応するため、新年度からは高木剪定も学校用務員の業務として行うという。

昨年12月には公園管理事務所の技師から指導を受けながら学校用務員が市内中学校で実際に剪定作業を行った。高所作業車の運転講習費は前橋市が負担するという。
学校の高木は子供たちが学校生活を送るうえで良好な環境を作り、環境学習の教材にもなる。
学校の樹木や草花の管理をすることも学校用務員の大切な仕事だが、果たして市の思惑通りにいくだろうか。
専門家からは疑問の声もある。植栽管理の専門家である当協会の代表理事は次のように話す。
用務員さんは通常業務として植木の剪定もされていると思います。その延長線上で考えられてしまったのだと思いますが、研修をするといっても高木剪定は一般の用務員さんには荷が重いと感じます。
作業内容として専門的な技能が占めるウエイトが大きく、作業には死亡事故も発生するような危険を伴うのが高木剪定です。
剪定の方法、ロープワーク、高所作業車やチェーンソーなどの扱い、安全管理や人員体制など、作業には通常の環境整備とは異なる特殊な配慮が必要となります。だからこそ、専門家に業務を委託してきたのです。
今回の取組は、少なくとも一年間は試行期間として、出てきた課題を整理し、プランを修正する必要があると思います。剪定作業に適性の高い用務員さんを見つけ出して、そのような方たちにに対して計画的な研修プログラムを実施することができれば可能性はあると思います。
選り抜きの用務員さんたちが学校の壁を越えてチームを組み、市内の学校を巡回して高木剪定作業をするようなやり方は面白いかもしれませんね。
全国的にも珍しく注目される取り組みだが、課題は多そうだ。

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