【樹木事故】国指定特別名勝「虹の松原」 倒れたマツに自動車が衝突 過去にも死亡事故(佐賀・唐津市)
2023.07.20 ブログ
STAGE 編集部

人と緑・花をつなぐコーディネーター
 地域緑花技術普及協会

6月20日午前1時頃、国指定特別名勝「虹の松原」(佐賀県唐津市)を通る県道で、道路へ倒れていたマツに走行してきた軽自動車が接触する事故があった。
車両はバンパーやボンネットに傷がついたが、運転者にはけがはなかった。

男児死亡した「虹の松原」でまた倒木事故、車接触…危険判定228本以外の松 (読売新聞オンライン 2023/6/21)

佐賀森林管理署によれば、倒れたマツは高さ15m、幹直径74㎝。
根元には高さ6mまで空洞があり、地上部の重さで自然に倒れたとみられている。

事故の8分前には、通行人から「倒れた木が道を塞いでいる」と警察に通報が入っていたという。
国などは倒れた木の調査結果を踏まえ、今後の対応を話し合うとしている。

虹の松原
 国指定特別名勝(特別名勝指定1955年(昭和30年))。もともとは玄海灘に対する防風林として植栽されたもの。松浦湾の海岸線に沿って松原の長さは10㎞を越え、幅は1㎞に及ぶ。松林の中には、数百年を経た老松も少からず残る。
「唐津城跡や鏡山から俯瞰すれば、鮮緑の弧線の現わす美観は虹の松原の名にそむかない。わが国の松原のうち特に価値の高いものである。」として特別名勝に指定されている。

「虹の松原」では、2019年7月深夜にも走行中の軽自動車と倒れたマツが衝突し、乗車していた児童が亡くなる事故(以後、2019年事故)が起きた。
現在も亡くなった児童の遺族が「虹の松原」の所有者である国と県、市を相手取り、国家賠償を求めて係争中だ。

「虹の松原」倒木事故、国・県など提訴 死亡男児の遺族 佐賀・唐津 (朝日新聞デジタル2022年2月28日)

2019年事故の原因となったマツは、事故の6年前、県道を管理する佐賀県県唐津土木事務所が「道路上空を横断するような形状で、自重による倒木の恐れがある」と市教委に伐採を申請していたが不許可となっていたという経緯がある。

また、同土木事務所は2019年事故後の点検で228本を倒木の可能性が高いと診断していたが、今回倒れたマツは道路から12m離れたところで生育しており、点検の対象には含まれていなかったという。

今回の事故により、文化財に指定された樹木のリスク管理について、改めて課題が浮き彫りとなった形だ。

わたしたちSTAGEは、寺社の樹木、企業の公開空地の樹木、私有地の樹木、保護樹木や公園木などの公共の樹木などの調査・点検や各種の措置を実施しています。

所有・管理されている樹木や樹林に倒木事故等のご不安がありましたらお気軽にお問い合わせください。


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