【樹木事故】公園の樹木の幹折れ 中学生が下敷き(兵庫・神戸市)
2023.03.17 ブログ
STAGE 編集部

人と緑・花をつなぐコーディネーター
 地域緑花技術普及協会

3月14日午後4時頃、神戸市垂水区にある高曽(たかそ)公園の広場に植えられていた約5mのヤマモモの幹が高さ約50㎝のところで折れ、中学生が下敷きになる事故が発生した。

被害者は腰の骨を折る重傷。公園内のヤマモモに引っかかったボールを取ろうとしていたところ事故にあったという。

公園を管理する神戸市は公園内の施設を年4回点検していたというが、倒木の危険性を確認するような樹木点検は実施していなかったという。
市は今後、公園内の他の樹木について倒木の危険がないかを調査するという。

中学生骨折の公園内倒木、神戸市の年4回点検でも内部腐食は把握できず 大阪では植え替えや撤去も(読売テレビニュース 2023.03.15 17:52)

神戸市記者発表資料(神戸市建設局垂水建設事務所、神戸市建設局公園部整備課)

垂水区名谷町 高曽公園における倒木事故について


樹木の事故と点検に詳しい一般社団法人地域緑花技術普及協会の細野哲央氏(農学博士、樹木医)に事故の原因を聞いた。

(細野哲央氏) 報道されている映像を見ると、幹折れしたヤマモモは元の主幹部分はなくなっており、大枝が一本だけ残った状態。樹形としては完全に崩壊しています。
残っている大枝も枯れ枝が多く、生きている葉の状態も悪い。樹勢の衰退が相当に進んでおり、半枯れの状態だったと思います。
同時に幹の腐朽も進んでいました。映像からは、幹の周囲長比率で50%以上の腐朽があり、内部にも大きな腐朽が生じていたように見えます。

(編集部) ここまでひどい状態の樹木がなぜ公園の広場の中央にあったのでしょうか。

(細野哲央氏) リスク管理以前の問題として、通常は公園で広場中央の樹木が半枯れになっていれば、公園管理業務の中で伐採・更新などの処置が検討されているべきです。

植えられている位置から、もともとは景観上重要な樹木として設計・植栽されていることが分かります。このために伐採が見送られていたということはあるのかもしれません。
しかし、樹木点検が適切に実施されていれば残して置ける状態の樹木ではありませんでした。

(編集部) 事故発生に関して、管理者の責任は重いということですね。
報道では言及されていませんが、被害者はボールを取ろうとしていて下敷きになったということで、登ったりぶら下がったりと、木に力が加わったことで幹折れが起きたように思えます。
この点は管理者の責任という点では影響があるでしょうか?

(細野哲央氏) 子供たちが遊ぶ公園ですので、今回のように遊び道具が引っかかるなど、何かのきっかけで子供が木に登ろうとすることは想定外とは言えません。
それが事故の一因になったとしても、それだけでは管理者の責任には影響がないでしょう。

(編集部) この記事で取り上げたニュースは、「環境や景観を守るのに加え、事故を防ぐために公園の木をどう管理していくか。自治体の模索が続いている」と締めくくっていました。
これとは少し違うかもしれませんが、今回のような事故や樹木の保護運動がおこるたび、「景観と安全のどちらをとるか」が取り沙汰されます。この問題についてどのように考えますか?

(細野哲央氏) そうした問題提起には、環境や景観と利用者の安心・安全を二律背反に捉える考えが背景にあるように思います。
しかし、実際には、こちらを立てればあちらが立たずという関係ではなく、当たり前の設計と管理がなされていれば景観も健全性も向上していくのが樹木や緑地です。
逆に、景観を損ねるような樹木管理は、樹木の健全性(安全性)も著しく低下させてしまいます。

一般解ではなかなか示しにくいとはいえ、模索するほど難しいことではありません。
知識不足で悩んでいるのであれば身近な専門家に相談してほしいですね。
個別の事案に関してなら妥当な解決策はいくつも見いだせるはずです。

細野哲央
細野哲央
 一般社団法人地域緑花技術普及協会 代表理事
 樹木医 博士(農学) 国立大学法人 千葉大学 客員研究員

 樹木のリスクマネジメント、樹木医倫理の分野で日本の第一人者として知られる。植栽や庭園の施工・維持管理技術、緑化樹木の生産・管理技術、緑の生理・心理的機能、樹木の成長特性などにも造詣が深い。

わたしたちSTAGEは、寺社の樹木、企業の公開空地の樹木、私有地の樹木、保護樹木や公園木などの公共の樹木などの調査・点検や各種の措置を実施しています。

所有・管理されている樹木や樹林に倒木事故等のご不安がありましたらお気軽にお問い合わせください。


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