【樹木事故】JR博多駅前の広場で高さ13mのケヤキが倒伏(福岡・福岡市)
2024.05.17 ブログ
STAGE 編集部 人と緑・花をつなぐコーディネーター 地域緑花技術普及協会
5月15日午後11時50分ごろ、JR博多駅前の広場で高さ13m、直径40㎝のケヤキが倒伏し、広場の通路を塞いだ。けが人はなし。
倒れた木は広場がオープンした2011年から植えられていたという。
福岡管区気象台によると、福岡市では倒木のあった時間に最大瞬間風速16.4mを観測している。
福岡 博多駅前で高さ13mのけやき倒木 けが人なし 強風影響か (NHKニュース 2024年5月16日 11時19分)
福岡 博多駅前で高さ13mのけやき倒木 けが人なし 強風影響か | NHK https://t.co/qiDgfefive
— 一般社団法人 地域緑花技術普及協会 (@stageforgreen) May 17, 2024
STAGE編集部で倒れた木を特定した。倒れたのは正面の木。画像は2016年のもの。
樹木の事故と点検に詳しい一般社団法人地域緑花技術普及協会の細野哲央氏(農学博士、樹木医)に倒木の原因を聞いた。
JR博多駅前で街路樹倒れる けが人なし 強風の影響か(毎日新聞 2024/5/16 11:14)
https://mainichi.jp/articles/20240516/k00/00m/040/060000c
(細野氏) 今回は上記の毎日新聞の記事の写真が非常に分かりやすかったので、これを見ながら解説します。
写真を見ると根株らしいものはなく(もともと未発達か腐朽によって消失)、地上部を支持する根がちぎれたことで根元から倒れたようです。
写真だけでは判然といませんが、ちぎれた支持根にも腐朽が入っているかもしれません。
Googleマップの画像を見ると、地際に根の広がりが見えませんので深植えされていたと思います。
根株周辺はグラウンドカバーに植えられているアズマネザサが剥げて地面が露出しており、コケっぽくなっているので水はけが悪そうですね。
こうした環境は根株の衰退・腐朽を招きやすいです。
一方で、地上部分は結構元気に見えます。
支持力はなくても養水分を吸収できる細根は生きているからです。
新聞記事の写真を見ても細根は確認できます。
つまり、枝葉が多く出ているので風を受けた時の影響が大きいにもかかわらず、根株の支持力が貧弱だった。
このアンバランスさが今回の倒伏の原因となったと考えられます。
倒れた当時の最大瞬間風速16.4mは強い風ですが、通常はこの程度の風で今回のように樹木全体が倒伏するようなことはありません。
根株がなく支持根もわずかなので、倒伏前にも人が幹を押したら地上部が不自然に揺れるくらいの大きな異常は出ていたのではないでしょうか。
樹木点検に精通した専門家が診ていれば倒木は防げた事案だと思います。
細野哲央 一般社団法人地域緑花技術普及協会 代表理事 樹木医 博士(農学) 国立大学法人 千葉大学 客員研究員 樹木のリスクマネジメント、樹木医倫理の分野で日本の第一人者として知られる。植栽や庭園の施工・維持管理技術、緑化樹木の生産・管理技術、緑の生理・心理的機能、樹木の成長特性などにも造詣が深い。
わたしたちSTAGEは、寺社の樹木、企業の公開空地の樹木、私有地の樹木、保護樹木や公園木などの公共の樹木などの調査・点検や各種の措置を実施しています。
所有・管理されている樹木や樹林に倒木事故等のご不安がありましたらお気軽にお問い合わせください。
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