駐車場の緑化:緑の駐車場とグリーン・トレンチ【シリーズ・知っておきたい緑花の基礎知識】
2022.05.10 コラム

#計画 #設計 #雨水浸透 #グラウンドカバー

豊田幸夫

STAGEプリンシパル・プロフェッショナル・パートナー
技術士(建設環境)、樹木医
一般社団法人 地域緑花技術普及協会(STAGE)では、緑と花を通じて健康な生活を送るための情報や、緑・花を元気に育てるために役立つ情報を公開しています。

「知っておきたい緑花の基礎知識」は、STAGEプロフェッショナル・パートナー豊田幸夫氏が作成された、趣味で庭造りを楽しむ方から植栽管理のプロフェッショナルまで幅広く参考にしていただける技術資料です。

このコラムでは、「知っておきたい緑花の基礎知識」を皆様にさらに分かりやすくお伝えできるようにSTAGE編集部がインタビュー形式で再構成したものです。

― 今日のテーマは「駐車場の緑化」です。
都市には数多くの駐車場がありますが、その多くはアスファルト舗装や立体駐車場です。

豊田幸夫さん(以下:豊田): そうですね。
しかし、駐車場の緑化推進は快適なまちをつくるために非常に重要な取り組みだと考えています。

緑化する部分には、浸透トレンチや通気・透水管を敷設すれば、豪雨による浸水被害の軽減に役立ち、樹木の健全な生育にもつながります。

― 通気・透水管を敷設した植栽基盤(*)、つまり「グリーン・トレンチ」ですね。
*植栽基盤:植物が正常に生育できるような状態になっている地盤(日本造園建設業協会)
豊田: そうです。
植栽基盤に縦引きと横引きの通気・透水管を敷設することによって、既存の駐車場も雨水浸透施設になります。
浸透トレンチを設けた緑の駐車場の断面例
一般的なアスファルト舗装の駐車場
― 駐車場の緑化も、車止めより奥側を緑化するだけであれば難易度は低そうです。

豊田: そうですね。駐車場緑化では、車止め奥の緑化は一般的です。
その場合は、荷物の出し入れで使う場所ですので、緑化植物の根に人の踏圧の影響があることを考慮して保護材を設置するか平板敷にできるといいですね。
強い日差しから車を守る緑化
車止め奥を緑地にした例
車止め後部をシバで緑化した例
高木の仕立てものを利用した駐車場の緑化
― 車止め奥部分以外では緑化できる場所はありますか?

豊田: 最近は様々な緑化舗装材や工法が開発されています。
そうした技術を使えば、駐車スペースでも緑化できるようになっていますよ。
合成樹脂系の緑化舗装(緑化駐車場用保護材・エコユニットベース)
タマリュウによる駐車場緑化(駐車場緑化システム・グリーンテクノパーキング)
ブロック系の緑化舗装による駐車場全面緑化
― 駐車スペースの表層を植物に覆うような植物材料もあるのですか?

豊田: 「グランドカバープランツ」のことですね。背の高くならないシバやイワダレソウ、タマリュウ、ヘデラ・カナリエンシスなどがお勧めです。
ヒメイワダレソウ(リピア)
タマリュウ
ヘデラ カナリエンシス 

豊田幸夫(とよだ ゆきお)

STAGEプリンシパル・プロフェッショナル・パートナー
技術士(建設環境)、樹木医

元鹿島建設(株)・ランドスケープデザイン部・兼務・技術研究所、(株)ランドスケープデザイン設計部 技術部長。
屋上緑化・屋上庭園、ヒーリングガーデン、エディブルガーデンの計画・設計を専門分野とする。現在は樹木医・環境造園家として活躍中。

STAGEでは緑の駐車場やグリーン・トレンチの設計や設置についてお手伝いしています。全国どこでもご対応いたしますので、どうぞお気軽にご相談ください。法人だけでなく、個人のお客様からのご依頼も承ります。

一般社団法人 地域緑花技術普及協会

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