【地域緑化】住民反対で伐採見合せていた「スタジアム通り」街路樹 区は「説明尽くした」として伐採へ(東京都港区)
2022.09.13 ブログ
STAGE 編集部

人と緑・花をつなぐコーディネーター
 地域緑花技術普及協会

住民グループの反対で中断していた港区道「スタジアム通り」の街路樹が伐採されたことが分かりました。

スタジアム通り 街路樹伐採 港区「説明尽くした」 住民団体は落胆

東京新聞2022年9月8日 07時06分
街路樹伐採が中断した当時の記事。

神宮外苑の街路樹アオギリ 東京都港区が伐採見合わせ 

東京新聞2022年7月17日


「スタジアム通り」は東京メトロ銀座線外苑前駅から秩父宮ラグビー場や神宮球場方面へ延びる港区道。
319mの区間には1964年の東京五輪当時に既にあったというアオギリが38本植えられていました。

「スタジアム通り」は試合開催日に混雑するため、片側二車線を一車線に減らして歩道を広げる工事が計画されていました。

この工事に伴い、街路樹は7月中旬に伐採される予定でしたが、住民グループが環境基本計画に沿った街づくりをしてほしいとして街路樹の保存を申し入れていました。

この申し入れを受けて、区はいったん伐採を見合わせ。

港区 スタジアム通り(神宮球場)の樹木伐採停止の緊急要望書提出→伐採工事停止へ/ゼロエミッションを港を目指す会

区は住民グループと意見交換するとしていましたが、結局、「説明を尽くした」として9月7日の時点で17本を伐採。

住民グループは「区は伐採方針を説明するだけで話し合いの余地がなかった」と話します。

区は、住民グループの見解は、電話がほとんどつながらず詳しく聞けなかったと釈明。
木が老いて台風などで枝が折れることもあるため切らざるを得ず、伐採再開は地元や区議会にあらためて説明もしたとしています。

街路樹の更新問題に詳しい細野哲央さん(一般社団法人 地域緑花技術普及協会)は、現状の狭い歩道を広げる計画自体には賛成としつつ、将来に禍根を残す強引な街路樹伐採は問題だと話します。

また、新しく植え替える樹種がサルスベリであることについて管理負担軽減が主目的の樹種選定と指摘。
せっかく歩道が広くなっても現状よりも緑陰が縮小してしまい、夏季の日中は歩くのが苦しい道になるといいます。

歩道拡幅に伴う街路樹の更新は千代田区の神田警察通りのイチョウ並木でも問題となり、7月には住民らが工事費支出差し止めを求めて千代田区を提訴するなど未だ紛糾しています。

この事案が第二の神田警察通りとならないように、港区は改めて住民の多様な声に耳を傾ける必要があります。
伐採前のスタジアム通りの街路樹

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