【樹木事故】沿道樹木の倒木事故訴訟で熊本市の賠償責任が確定(最高裁判所)
2023.01.25 ブログ
STAGE 編集部 人と緑・花をつなぐコーディネーター 地域緑花技術普及協会
熊本市内の県道を走行中の車に倒木が直撃した事故の訴訟で、最高裁第1小法廷が市側の上告を棄却する決定をしました(2022年12月/22日付け)。 これにより、市などに4996万円の支払いを命じた福岡高裁判決が確定しました。
車に倒木直撃で男性死亡、熊本市の上告棄却 2017年の県道事故 道路管理に「瑕疵」 (熊本日日新聞2022/12/27)
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事故は2017年6月25日の夜間に発生したものです。 熊本市東区下南部3丁目の県道に面した私有地の斜面から高さ9m、直径50㎝の樹木が倒れて乗用車を直撃し、運転していた当時32歳の男性が死亡していました。 熊本市は生い茂っている竹などが道路に倒れてきそうな状況は把握しており、2014年には文書で土地の地権者に対して樹木の伐採を依頼していたといいます。 これに対して地権者は伐採などの対応をしていませんでした。 倒木の原因については、過去に、樹木が「腐っていた可能性」があるとの報道がありましたが、続報はなく不明です。 被害者の遺族らの訴えに対し、2021年6月、熊本地方裁判所は市が県道沿いの民有地上の竹木が道路に倒れこんで事故が起きることは予見できたことを認め、「市は県道に沿って金属製のフェンスや防護柵を設置するなど、倒れた竹木が入り込むことを防止する対策を講ずる必要があった」として、市の損害賠償責任を認めました。 この判決に対して市は、民有地の奥まった場所にあった樹木の存在は認識できず倒木は予見できなかったこと、道路パトロールや土地所有者への指導のほか、路上に張り出したり傾いたりした竹木を除去するなどの管理を行っていたことを主張し、道路管理者としての責務は果たしていたとして福岡高等裁判所に控訴。 しかし、福岡高裁も2022年1月28日、市は「倒木による事故を予想できた」と指摘し、市と土地所有者に約5000万円の支払いを命じていました。 市はこの判決を不服として、最高裁判所に上告していました。
樹木の事故と点検に詳しい一般社団法人地域緑花技術普及協会の細野哲央氏(農学博士、樹木医)は、十分な管理がされてこなかった山林内は倒木の可能性の高い樹木が存在している可能性は十分にあり、市の予見可能性を認めた判決は妥当とコメントしています。そのうえで、同様の状況をもつ道路は全国にあるとして道路や山林の管理者に注意を呼び掛けました。
事故が発生する1年前の現場(2016年9月)。
細野哲央 一般社団法人地域緑花技術普及協会 代表理事 樹木医 博士(農学) 国立大学法人 千葉大学 客員研究員 樹木のリスクマネジメント、樹木医倫理の分野で日本の第一人者として知られる。植栽や庭園の施工・維持管理技術、緑化樹木の生産・管理技術、緑の生理・心理的機能、樹木の成長特性などにも造詣が深い。
わたしたちSTAGEは、寺社の樹木、企業の公開空地の樹木、私有地の樹木、保護樹木や公園木などの公共の樹木などの調査・点検や各種の措置を実施しています。
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